◆◆ ハリネズミとは? ◆◆
■ ハリネズミとは ■
− ハリハリ談義 序説 −
- 種
ハリネズミは,ネズミの仲間ではない。
哺乳類は,偶蹄目,霊長目,食肉目など,「目(もく)」と呼ばれる20あまりのグループに分けられる。ハリネズミはこのうち,食虫目(モグラ目)というグループに属している。同じ食虫類の仲間には,モグラやトガリネズミがある。これに対して,ネズミ類は齧歯目(げっしもく)(ネズミ目)というグループの一員であり,リスやビーバーがその仲間である。
食虫目は,胎盤をもつ哺乳類の中では最も原始的なグループである。胎盤をもつすべての哺乳類は,かつて食虫類に近い動物から分化したと考えられている。
※ 食虫目より原始的な現生の哺乳類は,卵を産む唯一の哺乳類である単孔目(カモノハシ目)と,卵は産まないが,胎盤をもたず,育児嚢(いくじのう)と呼ばれる袋で子どもを育てる有袋目(フクロネズミ目)だけである。より細かく言えば,ハリネズミとは,食虫目 ハリネズミ科 ハリネズミ亜目に分類される動物たちのことである。ハリネズミ科は,ジムヌラ亜科とハリネズミ亜科に分かれる。ジムヌラはハリネズミに最も近縁のグループということになるが,ハリネズミに比べて針が未発達である。
単孔目には,ハリモグラと呼ばれる動物がいる。単孔目のハリモグラは食虫目のモグラの名を騙り,食虫目のハリネズミは齧歯目のネズミの名を僭称する。どうも,動物たちは進化の階梯を一段登ったグループの名前で呼ばれたがる傾向があるようだ。
でも,齧歯目のハリハリ動物であるヤマアラシの名だけは,何をねらったものか,よくわからない。
ハリネズミ亜科は,4属14種に分類される。そのうち,特によく知られているのは,西ヨーロッパに棲むナミハリネズミである。東アジアに棲むマンシュウハリネズミは,ユーラシアの西端と東端に分布域が分かれているにもかかわらず,ナミハリネズミと同じハリネズミ属に属し,外見上もほとんど区別がつかない。
一方,ペットショップで「ピグミーヘッジホッグ」等の名で売られている小型のブリーディング種は,ヨツユビハリネズミ(アフリカハリネズミ属)という種だ。最近では,大きな耳が愛嬌を感じさせるオオミミハリネズミ(オオミミハリネズミ属)も出回っている。
- 形状と習性
ハリネズミの特徴と言えば,何と言っても背中一面を覆う針である。
危機に際しては体を丸めて頭と四肢を隠してしまい,全身の針を立てて身を守る。針の長さは2〜3センチ弱である。
体長は種によって異なるが,西ヨーロッパに分布するナミハリネズミで20〜30センチ,ペットショップでよく見られるヨツユビハリネズミで14〜21センチになる。
当然だが,自分の力で転がったり,ましてその針で敵を攻撃したりすることはできない。
昆虫やミミズ,ナメクジなどを主に食べるが,多くの食虫類とは異なり,植物質のものも口にする。
寒い地方では冬眠するが,乾燥地帯に棲むものには,夏に夏眠をする習性がある。
- 分布
ユーラシアとアフリカ−−具体的に言えば,朝鮮半島・中国を含む東アジアから中央・東南アジアを経て中東地域までのアジア,さらに西はブリテン諸島,南は南アに至るヨーロッパ・アフリカ大陸−−−要するに,シベリアを除く旧大陸ほぼ全域にわたる広い範囲に分布する。
しかし,南北アメリカやオーストラリアには分布しない。
分布地域では,森林や草原,乾燥地帯のほか,人家の近くにも棲息し,身近な小動物として親しまれている。
日本には原産しませんが,一部地域では,ペットとして輸入されたものの帰化が報告されている。
- 人とのかかわり
ヨーロッパでは,ハリネズミはウサギなどと同様のありふれた小動物で,絵本や物語にもしばしば登場する。
そのわりに,たいていの場合は人畜無害な小動物として,あまり関心を払われてこなかったのだが(ほとんど唯一の例外はロマ(いわゆるジプシー)の人々で,彼らはある種のシンパシーをもってハリネズミを愛してきた),最近では,自然保護に関心の高い英国やドイツで,要保護動物として注目されている。
日本では,1990年代後半あたりからか,ハムスターを中心とする“ネズミ系”人気の高まりの中で,ペットショップなどでも普通に見られるようになってきた。
同時に,CM等にも,しばしばハリネズミの姿が見られるようになってきている。
(2001.09.18. 最終推敲:2005.03.08.)