[0]ハリネズミの動物誌


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■ 滅びゆく謎のハリネズミ ■

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 世界に分布するハリネズミ4属14種のうち,IUCN(国際自然保護連合)のレッド・リスト 1996 IUCN Red List of Threatened Animals に Threatened(絶滅の危機に瀕している)として記載されているものが,1種だけある。オオミミハリネズミ属のモリハリネズミ Hemiechinus hughi だ。
 絶滅危惧種の3つのカテゴリーのうち,最も危険度の軽いVU(Vulnerable:危急種)だが,絶滅が危惧されていることは間違いない。
 『ハリネズミクラブ』によれば,全14種のハリネズミのうちで,最も研究が進んでいないのが,このモリハリネズミであるという。棲息地はかなり限定されており,(阿部永『デッドデータ・アニマルズ 4』講談社,2000.07.によれば)中国の陜西省と山西省のみ,あるいは(『ハリネズミクラブ』によれば)陜西省のシャンキのみである。棲息地は,(『レッドデータ・アニマルズ』によれば)乾燥した草原地帯,あるいは(『ハリネズミクラブ』によれば)亜高山地帯や低地の針葉樹帯。ゴビ砂漠東部の乾燥地帯に分布するダウリアハリネズミに近い種で,ダウリアハリネズミと同様に,針葉樹林や乾燥地帯には棲まない異属のマンシュウハリネズミを避けるようにして分布しているようだ。
 HOWDY!! のひろみさんによれば,ウェブ上でも,このモリハリネズミの画像だけは,どうしても発見することができないという。
2001.11.18. 最終推敲:2005.03.08.
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■ ねむいねむい はりねずみ ■

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「バーバパパ」シリーズの作者,アネット&テイラー夫妻の『どうぶつ ビックリ くらしかた』(佐藤見果夢 訳,評論社〈児童図書館 科学の部屋〉,1999.05.;原著 "I RECORD DEL COMPORTAMENO ANIMALE", 1986)は,世界中のさまざまな動物たちの暮らしぶりを紹介した本だ。
この中で,“とにかく眠い動物”として紹介されているのは,意外なことに,ハリネズミである。

西ヨーロッパのハリネズミは、1日のうち18時間は、ねている。
あんぜんなかくれ場所で、朝6時から夕方の6時まで、ずっとねむっていて、ときどき、大きないびきをかくこともある。夜にも、あと2回ぐらい2、3時間の「おひるね」をする。おきているときは、えさをさがして歩く。
毎日、こんなによくねむっているのに、冬がきて、初霜がおりるとすぐに、からだをまるめて冬眠をはじめ、春になるまでグッスリねむる。

この記述は,どうもにわかには信じがたい。
確かに計算上は,日中の12時間に加えて3時間の「およるね」を2回こなせば,1日18時間睡眠というメニューもクリアできる理屈だが,体のあまり大きくないナミハリネズミに,1日6時間の活動時間で,十分な量の餌が集められるものだろうか? 睡眠中は,確かにエネルギー消耗は低く抑えられるだろうが,冬眠中のように,代謝過程そのものを大幅に抑制できるわけではないのだ。
また,ハリネズミは夜間,餌を求めて相当広範囲を移動することが知られているが,夜間旅行の途上で,安全で快適な仮眠室が,そうそう都合よく見つかるものだろうか。
これは何だか,「ハリネズミは夜行性だが,夜も眠ることがある」というところから,面白半分に単純計算で出された数字のような気がしてならない。

★ Too Trivial! ★
ちなみに,この本の原著はイタリアで刊行された。最近はアメリカや韓国のエグゼクティヴにも取り入れられているという「シエスタ」の習慣を固持してきた国々の1つである。

実際,専門家が哺乳動物の睡眠動物について語るときに引き合いに出すのは,ハリネズミとは別の動物たちである。
デズモンド・モリス(『アニマル・ウォッチング』)によれば,ナマケモノの睡眠は1日20時間,アルマジロやコウモリは約19時間,コアラが18時間だという。大型のネコ科動物たちも,1日の3分の2を眠って過ごす。ハムスターやリスは14時間,ネズミは13時間だ。
ハリネズミと同じ食虫目のテンレックは,1年の半分を冬眠または夏眠して過ごすと言われる。一方,同じく食虫目のトガリネズミは,「まったく眠らない」(!)らしい。
ハリネズミの睡眠習慣は,動物村の語り草になるようなものでは到底ないようだ。

なお,『どうぶつ ビックリ くらしかた』では,アリ食い動物の項に,ハリモグラやミユビハリモグラも登場している。
2001.10.03. 最終推敲:2002.11.11.
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