ひとりごと98年3月分 

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3.31

 今年度も今日で終わりです。最近今まで使っていたQuadra840AVがヴァイオリンのYさんのところに行き、余生をそこで送っています。最近は8500と2400しか使わないという話をしたら、840を買ってもいいよというので、手放しました。そのこともあり、Macについてのページを書き直しました。

 私がトレーナーをしている市川交響楽団がこの前の日曜日(私が「第2回クラシックはいかが」コンサートで苦闘していた日)に室内楽のコンサートを開きました。レスピーギの古代舞曲はうまく行ったようですが、編成の小さい協奏曲は今一つだったようです。市響は今度7月12日(日)に市川市文化会館でドヴォルザークの交響曲第7番とチェロ協奏曲(チェロ独奏はN響の首席の藤森さん)を弾きます。その時は何と私はコンサートマスターをやることになっています。(したがってチェロ協奏曲の終わりではソロがあります。)
 7番もかなり難しい曲なので、4月からの練習には出来るだけ出て、ボーイングなど早く決めようと思っています。いずれにしろ最初の譜読みの段階が最も大切です。お近くの方はぜひ聴きにいらして下さい。


3.30

 昨日の演奏会は聞いている方からは評判は良いようでした。ちょっと重すぎるのではないかというこちらの心配は杞憂だったようです。「1812年」など普通の演奏会ではまず演奏されませんから、それが聞けるだけでも良かったとも言えます。
 最近はこのようなクラシックへの導入というような演奏会は全然N響は企画していません。それこそ昔のプロムナードコンサートのような演奏会が最も必要なのではないかなと私は思います。もっと定期の種類による格差(C定期はポピュラーな曲中心、A定期は標準的な曲、B定期は通好みの曲というような違い)をはっきりとさせることも必要でしょう。どの定期もB定期のような曲というのはやり過ぎです。そのくせ旅行になると途端にポピュラーな曲になるというのもおかしな話です。(去年から名古屋、岡山で東京の定期と同じメンバー曲目での定期が始まりましたが。)今はクラシックのお客さんもすごくヴァラエティーがあるので、プログラムの特色をつけることももっと考えないといけないと思うのです。この点について皆さまのご意見をお聞かせ願えないでしょうか。

 今日Finaleのことでカメオインタラクティブに電話したのですが、電話で対応してくれた方はとても丁寧で、Finaleの動作環境、これからのバージョンアップ、現状でのアドバイスなどよく説明していただけました。このように対応していただけると、こちらとしても安心です。(ただ丁寧に対応するためでしょうが、電話はなかなかかかりませんでした。)結論としてはFinaleは日本語版3.5.2でも英語版3.7.2でもOS8.1はあまり勧められないということです。私は2度8.0から8.1にしてみましたが、結局8.0に戻しました。(これは私の感じですが、Finaleを使うなら日本語版と英語版は同居させない方が良いようです。またPreferenceがすぐ壊れるのもFinaleの特徴のような気がします。)今日聞いたかぎりでは8.1での不具合はプレーバックコントロールには出ているが、他の機能はちゃんと動いているとのことです。でもはっきり不具合の出ている状態で使いたくはないので、OS8.1は1月間お預けです。


3.29

 今日は一日「第2回クラシックはいかが」コンサートでした。一日中弾きっぱなしで、とても疲れました。今日の会場はオーチャードホールです。

 

 シューボックス型の典型のホールです。私は好きではありません。今日私の隣は京都交響楽団の女性奏者でした。いつもの雰囲気とは全然違います。とても弾きやすかったです。ただ曲がめちゃくちゃ分量が多いのと、どの曲も難しいのとで大変でした。また本番の時の衣装が信じられない出立ちなのです。

 このようなTシャツの上にタキシードを着るという信じられない姿です。何とデュトワ先生も、ロストロポーヴィッチ先生もこのシャツを来ていらっしゃいました。もっともプログラム後半は皆暑いので、タキシードの上は着ないでいました。この様子はNHKで放送されるそうですから、興味のある方はごらん下さい。(4月29日放映と聞いています。)
 今日の演奏会は何と2時間半を超えるものでした。「初めてクラシックのコンサートを聴く人のため」というサブタイトルには無理があるような曲数でした。なおこのTシャツは演奏会終了後いただいておきました。

 このような企画の演奏会はもっとやる必要があるとは思いますが、今日のようなどこに焦点が合っているのか分からない演奏会は、聴くほうも疲れるだけだと思います。N響も秋からこういうポピュラーな曲のコンサートをオーチャード定期としてやるようです。でもこんな長くて焦点のボケた演奏会は逆効果ですよ。(欲張り過ぎで、盛りだくさんすぎるのですよ。)弾くという意味でも、これだけ盛りだくさんだと会場練習が終わった時点でもうご馳走さまという感じです。(普段の定期よりずっとずっと大変。)全てのコーナーが1曲づつ余計です。
 メイン指揮者の沼尻さんと、デュトワ、ロストロポーヴィッチの両氏の関係も理解できません。最後はロストロ氏で盛り上がったのですが、そうなるとデュトワ先生は一体何だったのだろうかと思ってしまいます。でもロストロ氏が指揮したためか、チェロの人は異様に張り切っていました。それはそれで面白かったですが。
 まあそれでも演奏会は大喝采のうちに無事終了しました。私としてはこの1週間の長かったこと。明日からは降り番ですから、ゆっくり休ませてもらいます。


3.28

 今日はC定期2日目の後、明日オーチャードホールで開かれる「第2回クラシックはいかが」というコンサートの練習がNHKのスタジオ509でありました。一日中弾いていて疲れました。
 今日のC定期は家族がブラームスのピアノ協奏曲を聴きに来ました。さすがにうまかったと感想を言っていました。またデュトワ先生はさすがに絵になる指揮者だという感想も言っていました。
 演奏自体は昨日の方が良かったような気がします。私達が今日はうまくのれなかったという感じです。定期の出来は2日とも同じレベルということは珍しく、差のあることの方が多いです。

 本番の後509スタジオで明日の練習をしましたが、あすの曲の中の1曲ドビュッシーの「牧神の午後への前奏曲」はデュトワ先生が指揮をなさいます。この前の「映像」と同様フランス風の音を出すようにとすごく注文をされていました。
 明日のコンサートは若い人が初めて行くクラシックのコンサートという形の演奏会です。
 曲目は
1.ルスランとリュドミラ(グリンカ)
2.モルダウ(スメタナ)
3.春の声(R.シュトラウス)
4.「キャンディード」序曲(バーンスタイン)
5.牧神の午後への前奏曲(ドビュッシー)
(指揮:シャルル・デュトワ)
6.ハーリ・ヤーノシュ(コダイ)
7.サマー・タイム(ガーシュイン)
8.ダフニスとクロエ第2組曲(ラヴェル)
9.序曲「1812年」(チャイコフスキー)
(指揮:ロストロポーヴィッチ)
です。5と9以外は沼尻竜典の指揮です。
 とき:1998年3月29日 18:00〜
 ところ:オーチャードホール
 全自由席(¥1,000)ですが、クラシックコンサートに初めて行く人という条件で、就学児童以上25才以下という条件です。(小中学生は保護者1名同伴可)
 この模様はテレビでも放映されるようです。

 その後家に帰ってテレビを見ていたら、去年の暮のズーカーマンのブルッフのヴァイオリン協奏曲をやっていました。さすがに余裕で弾いています。来週はヴィオラを弾いたベルリオーズの「イタリアのハロルド」を放映するそうです。ゲルバーもズーカーマンも演奏するとき余裕で弾いています。ズーカーマンなどヴァイオリンを弾くののどこが難しいのという感じの弾き方です。本当に見ていて自分がいやになります。


3.27

 昨日のイスの配置は、テストのためのものらしく今日は今までの位置に戻っていました。それでも打楽器の後ろがものすごく開いて間の抜けた印象です。
 ところで今日の演奏は何と言ってもゲルバーに尽きます。一時期少し乱暴に感じたのが、今回は小さい音がきれいです。また音の大きさがすごいです。オーケストラと対等に渡り合っています。プログラムの前半はまずロッシーニの「セビリアの理髪師」で、先生の言うイタリアン・シャンパンという感じの演奏でした。部分的にとても変わった演奏法をしています。次のマルタンは曲はなかなか面白いのですが、全体の出来としては私は「?」です。暗さと重量感が不足という感じです。ブラームスのピアノ協奏曲を弾いて久しぶりにこういう重さのある曲を弾いたなという感じです。弾いていてとても充実した感じでした。

 このところずっとOS8.1でやっていたのですが、この前Finaleで不具合が出たと書きました。それを直すためにOS8.0を再度入れたのですが、直りません。今日もう一度8.0のシステムを入れ直し、試したらやはりダメです。(入れたばかりのシステムでやってもダメでした。)そこで外付けのHDDのシステムをそのままドラッグ&ドロップで移してみたらちゃんと動くようになりました。色々やった感じでは8.1ではPlayback Controlはちゃんと動かないようです。(Playback Controlのウィンドーが出ないと、再生時にテンポを変更することが出来ないのです。)ホルンの山本さんが8.1でも日本語版だとPlayback Controlのウィンドーが出ると教えて下さいましたが、そのウィンドーではテンポの変更は出来ませんでした。(テンポを変えても再生するといつも同じテンポで演奏されます。)そのうちPowerBookも8.0に戻そうと思っています。ただ時間がものすごくかかるので考えています。
 ただ私の環境では8.1についてこれ以外の不都合は起きていません。Finaleの新バージョンが出たら8.1にしようかな。全体としては8.1はすごく良いようです。でもFinaleに不都合があるのだと私の場合困るのです。


3.26

 今日はホールのでの練習でした。音については今回の座る位置は最悪です。これは弦楽器の人たちの一致した意見です。ところが事務所の方はそれを無視しているのです。困ったものです。どうも自分で作ったシナリオに酔ってそれに賛成する人の意見しか耳に入らなくなっているのです。いくら言っても耳を傾けないのです。 
 まず反響板から7mも離れるということは、反響板がいらないというのと同じことです。またたった10cmの段差が決定的な音の違いを生み出しているという勘違い(標準のAの音の波長が約80cmですから10cmは1/8です。1/4波長ものらないような長さが決定的な違いを生むなどということは信じられません。)もすごいです。
 まあそのことはおいておくとして今回の配置を見て下さい。

 

 この間の抜けた並び方を見て下さい。左のようにピットの部分は全部つぶれています。右の写真は打楽器のところと反響板との間です。音響学の常識に真っ向から挑戦する試みと言えるでしょう。
 ところで今回はゲルバーのブラームスで決まりです。協演するといつも思うのですが、いつも本当に素晴らしいです。皆さまもぜひお楽しみ下さい。ピアノソロの出の所からして違います。大したものです。今回はゲルバーのピアノで何でも許せるという心境になれます。

 ところでデュトワ先生が我がN響の音楽監督になられました。24日に帝国ホテルで記者会見があって正式に発表されたそうです。2001年8月までの契約です。今回のCD録音についてはDeccaもデュトワ先生も満足されているようです。そういえばこのCDは6月17日に国内で発売されるようです。


3.25

 今日はほとんどの時間をマルタンの「プティ・サンフォニー・コンセルタンテ」に使いました。最初に弾いたときには面白いかなと思いましたが、練習が進んでいくうちに飽きてきてしまいました。ちょっと聴くには面白いとは思いますが、やはり内容が今一つという感じです。2つの小オーケストラとソロの協演という編成は面白いです。やはり今回はゲルバーのブラームスが聴き物でしょう。結局あまり有名でない曲はやはり万人にアピールできないものだということです。一見通俗的に思える曲でも有名な曲はそれなりに内容があります。
 よく指揮者があまり有名でない曲の時に、この曲はとても良い曲だから皆さん好きになると思いますよという趣旨のことを言われますが、練習してこれは良い曲だと思ったことは今まで一度もありません。練習するほどに、これだからアピールしないのだよねと、再確認する結果にしかなりません。今回もデュトワ先生には申し訳ないのですが、それほど名曲だとは思いませんでした。決して悪い曲ではありませんが。

 明日はNHKホールで練習です。消防法の関係でまた座る位置を変えるそうです。またさらに前に出るそうです。でもなんで前に出るのですかね。防火シャッターが閉まるだけなら後ろに引っ込んでも良いのに。何か前に出れば良いと思っているようにしか見えません。弦楽器はほとんどこのやり方には反対なのですが。(不思議と弦楽器の意見は通らないのです。)


3.24

 昨日おとといの録音はやはり疲れました。演奏会は馴れているので、テレビが入っていてもそれほど緊張しませんが、録音はたまにしかないので気疲れします。でもこれからはこういう録音も増えてくでしょうからいちいち気疲れしていてはダメです。。逆に録音は緊張しないけれど、テレビ録画のある演奏会は緊張するというオーケストラもあるようです。馴れの問題です。

 明日からはマルタンの「プティ・サンフォニー・コンセルタンテ」とブラームスのピアノ協奏曲第1番の練習です。特にブラームスはソロがゲルバーなのでとても楽しみです。

 演奏会の後の拍手とブラヴォーのことが議論を呼んでいるようです。弾く側の意見を言わせていただくと、拍手もブラヴォーもいただけばうれしいです。それに褒めていただいていることに注文を付けるのはおかしいのですが、拍手の始まりのタイミングなどはとても微妙なもので、それが拍手をする人の音楽的センスをよく表していると思うのです。私達も拍手から色々なことを感じます。私自身は拍手の最初はほとんど参考にしていません。というのは拍手がしたくてしょうがない人がいるかいないかで全然違ってくるからです。そんなことよりその拍手の厚みと持続力が問題なのです。少数の人が騒いでも多くの人が良いと思ってくれなければ拍手は続かないのです。
 少なくとも聴いている他の人の迷惑にならないようにだけはしていただきたいです。前にブーイングについて書いたのと同様、ブーイングもブラヴォーも拍手も自分の感想を表すという意味では自由なものです。ですが聴いている方はその人1人だけではないのですから、いくらお金を払って聴きに来ていても他の人もお金を払って聴きに来ているわけです。ですから、その人たちのことも大事にしていただきたいのです。それこそ言い方としては悪いですが、トンチンカンな拍手はされる方はあっけにとられるだけです。先にやった人の勝ちではないのです。結局それぞれの人の社会性の問題でしょう。自分がスッキリすれば人のことなどどうでも良いかどうかという次元の問題だと思うのです。
 もちろん拍手は頂ければとてもうれしいです。ごく普通に拍手していただいているだけで私達はとてもうれしいのです。それから「Bravo」は男性型だと思うので、女性にするのはいかがなものでしょうか。


3.23

 今日は無事に録音が終わりました。いつも録音状態で11時から4時頃までやり続けたのでとても疲れました。日本とやり方の手順が違うのですが、あまり抵抗なく出来ました。NHKでの録音に較べるといろいろな調整についても無駄な時間の使い方がないので、手際良く行きます。さすがにDeccaという感じです。
 トリフォニーホールというのは録音には良いのかもしれませんが、弾いているとあまり面白いホールではありません。出来たときは響いていたという話なのですが、今の状態ではかなりデッドです。

 

 左の写真は今日の録音が始まる前に指揮者控室の前で撮らせていただいた写真です。実は福島からの帰りの新幹線の中でとった先生の写真を間違えて消してしまったのです。今日は消さないように気をつけました。先生は私のカメラにとても興味があるようで、いろいろ質問されました。
 右の写真は最初の休憩の時のものです。(左からヴァイオリンの木全君、ホルンの山本さんと大野さんです)今回の録音セッションでは管楽器の人たちは皆ナーバスになっていました。といっても弦楽器が楽なわけではありません。
 4時に録音が終わったら拍手が起こりました。私自身はウィーンの時より良く出来たような気がしています。早くCDを聴いてみたいです。


3.22

 普通なら今日は1日休みなのですが、CDの録音ということで夜6時〜9時錦糸町のすみだトリフォニーに行きました。初めての会場です。

 

 左の写真の右に見える2本の斜めの線が印象的です。響きは割りにデッドな感じです。ステージは今回録音のために舞台を広げてあるようです。今日はたくさん写真を撮ろうと思っていたのですが、3枚撮ったところでバッテリーが無くなってしまいました。明日はちゃんと充電していこうと思っています。
 今日の録音はとても順調に進んでいます。明日は朝11時〜夕方6時までの録音です。明日はしぼられるような気がします。今日意外に感じたのは、デュトワ先生が演奏会の時と振り方がかなり違うのです。特に曲の始めの振り方が違います。演奏会の時は勢いで振っているのですが、録音ともなると見間違いのないようにするためか、一見おとなしい振り方です。それでも熱が入るとだんだんと本領を発揮してきます。そうなってくると出てくる音も良くなってきます。この録音の出来はぜひCDを聴いて下さい。プロコフィエフの第6交響曲と「ロメオとジュリエット」の第1,2組曲の中から8曲の抜粋というカップリングになります。
 さすがにDeccaのクルーは素晴らしく、マイクのセッティング替えなども要領が良いです。ウィーンの録音の時にも感じましたが、ディレクターの人はとても耳が良いです。


3.21

 今日は久しぶりに出張公演です。今回は福島での演奏会で、日帰りの演奏会としては遠いです。今日は車で移動する人が多いようで、東京駅ではN響の人にはほとんど会いませんでした。今では新幹線のおかげで福島など日帰りの圏内に入ってしまっています。新幹線や飛行機は速く目的地に着けるので良いのですが、疲労度は移動時間ではなく移動距離に比例するようで、特に飛行機の場合はとても疲れます。
 演奏旅行の場合乗り打ちは4日を上限とするのですが、最近は演奏旅行自体が昔より期間が短くなったこともあり、4日連続の公演というのは珍しくなりました。私が入団した時の最初の国内旅行は3週間という長いものでしたし(山陽、山陰を周った後九州を全部周り最後に沖縄に行った。)、その頃の海外旅行などは1度行くと40日間位は帰ってこなかったので(その上その間全てツイン部屋だった。)、私自身は海外旅行は嫌いでした。今では海外旅行も長くて2週間、部屋は全てシングルですから、国内旅行と同じ環境です。(移動は国境を越えるので非常に時間がかかりますが、ホテルは国内とは較べようもない程良いホテルの場合が多いです。ただ家に連絡をとりたくても電話代がものすごくかかるのが問題です。親戚に不幸があった時でも満足に電話できませんでした。)
 新幹線の車窓から見る景色は曇っているせいもあって殺風景で面白くありません。新幹線はどれも景色が良くないのでその意味ではつまらないです。新しい新幹線ほどその傾向が強い。(11:20 新幹線の車中にて)

 今日の会場は前にも来ているようなのですが、覚えていません。ステージ上から会場の写真を撮ったのですが、全体が暗すぎてよく見えないのでやめました。今日はNTTN響コンサートです。

 

 音はあまり響かず、昔ながらの日本の会場という印象です。ドビュッシーの曲などはもっと響きの軽い会場でないと面白くないのではないかと心配します。
 東京駅ではN響の人に全然会わなかったのに、福島の駅を降りたらたくさんいました。連休の初日なので高速が混むということらしいです。(14:20)

 今日の会場にはグレ電がありませんでした。残念ながら後ほどアップします。
 演奏会も終わり今は帰りの車中です。昼間は暖かいですが、夕方になると寒くなってきます。今もちょっと寒いです。こういう出張公演にデュトワ先生の指揮で行くことは珍しいので、お客さんも大変喜んでいらっしゃいました。
 日本の会場の音響の所為もあって日本人はフランス音楽がうまくないのではないかと再確認させられました。今日の会場は典型的な昔ながらの日本の会場の響きでした。というのは良く言えば重量感のある響き(端的に言うと、音が詰まったような感じで全然響かない)で、余韻がほとんどないのです。こういう会場でドビュッシーを弾くというのはとても難しいです。(今日の会場だけでなく色々な会場がこの傾向を持っています。昔に作られた会場の特徴です。)ドイツ音楽ならこういう響きでもまだ良いでしょうが(ドイツ音楽も響かないところでは良く聞こえないのですが。)、こういう重い響きの会場ばかりで弾いていると弾き方がどんどん悪くなるのです。(ステージの上で弾いていると、会場で響いていないのが分かるのでどんどん弓を押さえ込んで弾くようになるのです。)さすがに最近はこういう傾向のホールは少なくなっています。


3.20

 今日は放送記念式典での演奏でした。今日は一日風が強くて大変でした。まあ今日は式典での演奏ですから演奏の質がどうかという次元ではないのですが、今日の演奏はまあ良くはありませんでした。今日はNHK全体にお祝いという感じでした。心配した通り実際に音が出たのは例年通り予定より30分以上遅くなっていました。

 明日は福島の県文化センターでの演奏会です。私自身は福島の会場の覚えがありません。明日はマチネー(昼間の演奏会)ですので、出発は早いです。明日の福島の演奏会で、プロコフィエフの折り合いを付けておかないといけません。あさってからの録音が大変ですから。
 前にも書いたのですが、最近は東北での演奏会がほとんどありません。昔は郡山、福島、仙台、盛岡、青森、弘前、秋田、山形というような演奏旅行がたくさんあったのです。最近はかろうじて盛岡と青森に行ったことがあるくらいで、仙台も福島も全然行きません。こういう演奏会の開催地というのはその都市の経済状態をよく表しています。私が入団した当時はたとえば北海道では室蘭など必ず行ったのですが、最近はご無沙汰です。(昔は製鉄が盛んだった)それに対して最近よく行くのは九州です。熊本、大分、宮崎などよく行きます。
 今年の演奏旅行の中で変わり種の場所は、何と言っても佐渡の佐和田町でしょう。私が入団して以来、佐渡の演奏会は初めてです。(7月の旅行なのですが、このときは1日長岡、2日新潟、3日旅行日、4日佐渡というスケジュールです。3日の旅行日にどうしようか今から色々考えています。珍しいから佐渡に3日から泊まってみようか、他の所に泊まろうかと迷っています。)他に珍しいところは、魚津、牛久、那須が原などでしょう。

 今日はもう一つご紹介する演奏会があります。
第2回クラシックはいかが?「25歳の若い人のためのコンサート」( 主催:社団法人 日本クラシック音楽マネジメント協会)という、シャルル・デュトワ、ロストロポーヴィチなどが出演するコンサートです。
日程:1998年3月29日(日)18:00開演 
会場:BUNKAMURAオーチャードホール 
入場料金:全自由席(いずれも就学児童以上25歳以下) 
クラシックコンサートによく行く人3000円(税込)
はじめて行く人1000円(税込) 
小中学生の方は保護者1名同伴可能(有料)
私もこの演奏会は出演します。(他にもN響の人で出演する人はたくさんいます。)初めてクラシックの演奏を聴かれる方にはお薦めの演奏会です。


3.19

 昨日寝るときに花粉の薬を飲み忘れたら、今朝からクシャンクシャンと大変でした。近くの内科でもらった薬がよく効いて飲んでいればとても調子良いです。朝慌てて飲んだのですが夜になってやっと効きだしました。

 明日はN響はNHKの放送記念式典に出演します。今年はプロコフィエフの「ロメオとジュリエット」の中から5曲を弾きます。(昨日の演奏会では8曲を弾いています。)例年はもっとポピュラーな曲を弾いていますが、今年はレコーディングがあるためにロメオとジュリエットになったのでしょう。初めはリムスキー・コルサコフのシェヘラザードを弾くはずだったのです。明日は単なる式典の引き立て役なので、何を弾いてもあまり変わらないのですが。
 この式典は毎年時間通りに進んだためしがなく、いつも予定より遅れます。今は11:50音出しという予定ですが。

 昨日の写真を見ると、今までのKODAKの写真よりかなりきれいに撮れています。やはり150万画素と25万画素では違うようです。その割に本体の大きさが変わらないので、今回の富士はとても気に入っています。時間が合ったら同じ景色を2つのカメラで撮ってみて比較してみようと思っています。


3.18

 今日はいよいよ本番です。いまは6時15分ですが、下の写真は5時半くらいに夕食を買いに行ったときにとったものです。春らしい雰囲気がいろいろなところの景色によく現れています。ホールの入り口に並ぶ人たちの洋服が変わっていますし、噴水のところにあるお花も春らしくなっています。それにずいぶん日が長くなっています。

 

 下の写真はサントリーホールの向かいにあるSUBWAYとAndersenです。私は本番前にどちらかの店からサンドウィッチを買ってきます。ここで軽く食べていらっしゃるお客さんもたくさんいます。(18:30)

 家に帰り食事をした後、今まで使っていたQuadra840AVを外して、PowerBook 2400をつないでみました。PowerBookの電源キーを押しても外部モニターの方が起動しないので(PowerKeyを使っている)ADBに普通のキーボードをつないでそちらから起動させています。今は2400と8500しか使わないのでこの方が良いようです。

 ところで今日の演奏会ですが、演奏としては傷はあっても映像の音色などなかなか良いと思ったのですが、お客さんの反応は今一つ盛り上がりませんでした。2曲ともわかりやすいという曲ではないので、多分そのせいだとは思いますが、ちょっと残念です。プロコフィエフは熱演ではありましたが、ちょっと頑張り過ぎかなと感じました。プロコフィエフはCDに録音するのですから、先生も非常に張り切っていらっしゃいます。
 今日の演奏会は短いのにものすごく疲れました。それだけ充実していたのでしょう。今日はいつもより15分くらい早く終わりました。このプロで土曜日に福島に行くのですが、東京での演奏会以上に拍手がもらえるのだろうかと心配になります。


3.17

 今日もデュトワ先生の写真は撮れませんでした。(色々な打ち合わせがあるようで、いつも動き回っていらっしゃるので、突然写真を撮ると怒られそうです。)
 練習の方は順調に進んでいます。特にドビュッシーの音色については、細かくイメージを要求されています。その意味では大変良い練習をしていると思います。こういうことは人によって受け取り方が違うので、こういう練習を良いと思う人もあまり意味がないと思う人もいるでしょう。私は良い練習だったと思います。
 ただ今回のプログラムはとても難しいものです。前半のドビュッシー、後半のプロコフィエフどちらもN響にとってはあまり得意ではないジャンルです。それを克服するようにというのが、デュトワ先生のねらいです。その点については意味があるのですが、さしあたり私達はとても大変です。こういう曲を録音したり、演奏会で取り上げるということは長期的には我々にとってプラスになると思います。

 このところ続けてサントリーホールに行っていますが、明日もサントリーホールです。会場練習から本番までの間の時間のつぶし方にいつも困ります。明日はどうしようかな?このところ睡眠不足なので、楽屋で寝ようかな?


3.16

 今日は午前中にプロコフィエフ、午後はドビュッシーの練習をしました。
 デュトワ先生はレコーディングのことに気が行っていて、練習の始まるときにスナップ写真を撮りたいのですが、そのような展開になりません。今日の練習の間の休憩時間にフルートの小出さんを撮ってみました。この前買った富士のFinePix700で撮った初めての写真です。これは練習ホールの前で撮った写真です。

 こうやって見る限りでは前のKODAKとあまり変わりありませんが、72dpiのスクリーンでの表示では差が出ないのは当たり前です。明日の練習の時撮れるようだったらデュトワ先生を撮ってみようと思っています。(FinePixは自動でフラッシュが点灯するので暗くても心配ないのが良いです。)
 ところで本論の演奏のことですが、練習についてはさすがにツボをよく心得ていらっしゃいます。自分のための練習ではなく、オーケストラのための練習になっています。昨日も書いた通り今回は前回と印象が違います。練習も2日目になると昨日はバラバラだった音がだんだんまとまってきました。それにデュトワトーンが出てきています。今日は盛んにプロコフィエフのスタイルと違うということを注意されていました。リズムを正確に弾いて、キャラクターを出すようにと何度も注意されています。今日の練習を通して感じたのは、先生は音の重量感を出そうとしていらっしゃるようなのですが、単に大きな音で弾くのでは先生の求めている音にはならないのです。 

 今日はFinePixを取り出したら皆さんが集まってきました。やはり評判の機種なので、関心が高いです。私は今までのモバイルはKODAK、家ではCanonのPowerShotという二刀流はやめました。(カメラが2台路頭に迷っています。)


3.15

 今日は練習時間の3/4をプロコフィエフに使い、丸一日充分練習しました。プロコフィエフというのは日本人の感性とはとてもほど遠いところにある音楽だと思います。拍子感リズム感が日本人のものとは全然違います。ピアノソナタの場合でも、日本人が弾くのはロシア風ではなく、演歌風になってしまうのです。デュトワ先生の場合はそうでもないのですが、今までロシアの指揮者がロシア物をやる場合ffffffの違いは厳しく区別させられます。fの場合そんなにゴリゴリ弾かなくてもよいということを盛んに強調されます。(今回はfでもかなり大きく弾かされていますが。)
 今日の練習では先生のやり方が、言葉で説明しにくいのですが、この前のヨーロッパ旅行の時と微妙に違うような気がします。(これは私の受け取り方が違うだけかもしれませんが。)今回の方が私は好きです。今回のプロコフィエフはCDの録音があるので、デッカのプロデューサーが練習中ずっと付き合っています。
 前回のブルックナーシリーズも私は9回全部出ましたし、プロコフィエフの録音もウィーンと今回の録音と両方とも出番です。こういうエポックメーキングな時にいつも出番なのはとても大変です。指揮者がやる気十分なわけですから、それに付き合うこちらも体調充分でないととても辛いですから。ブルックナーシリーズも1回くらいは休みたかったのですが、希望を出そうと思ったらもうとっくの昔に満員でした。(その分他では休ませてもらっていますが。ブルックナーシリーズには1度も出ていないという剛の者もいるのです。予定が出た途端に希望を出したそうです。)

 最近演奏会の後の拍手に「?」を感じることが時々あります。というのは我々が弾いていて感じる出来映えと、拍手がどうも関連していないのです。音楽的によく考えられている演奏の場合でも、派手にしないと拍手は少ないですし、派手であれば音楽的に余り良くないと思われるときでも盛大に拍手があります。まあ演奏する側と聴く側の違いだといえばそれまでですが。作曲家が譜面にどう書いているかということももっと知っていて欲しいのです。若い人が一生懸命やっていてもあまり拍手がもらえないのに、ベテランの場合は少々と言わずかなりずっこけていても盛大な拍手がもらえるのです。一緒に弾いていて不公平に感じます。今の日本では名声と実力は全然関係がありません。(有名でない人でもものすごくうまいというケースはざらにある。)

昨日書いたFinaleの問題についてはこちらをごらんください。


3.14

 昨日は若杉さんのブルックナーシリーズの最終日でした。昨日は本番のあと家に帰ってから、OSの入れ換えを始めたので今日も今頃になってやっとホームページに着手することができました。ページの更新を楽しみにされていた方には申し訳ありませんでした。
 実はFinaleで譜面を音にするとき、Playback ControlのMore Choicesをクリックすると、ウィンドーが消えてしまうのです。カメオに電話をして聞いたらアピアランスコントロールパネルのダブルクリックを許可しないという設定にすればちゃんと動作するといわれたのですが、私の使っている英語版3.7.2ではダメでした。ちゃんと動かないのが面白くないので、せっかく8.1にしたのを8.0に戻したのですが、症状は同じです。結局英語版3.7.2ではPlayback Controlは使えないようです。それでもう一度HDDのイニシャライズからやり直しました。大変でした。この症状はPowerbook2400でも同じです。(2400の方は8.1のままにしてあります。)本業の方は中途半端なのですが、何とかMacは立ち直りました。

 ところで昨日の演奏会は大変盛り上がった演奏会でした。とにかくお客さんが盛り上がってすごかったです。これだけ盛り上がらせることができるのだから若杉さんは立派なものです。3年かけて(年3回、3年で全9曲全曲を弾いたわけです。)の大事業です。演奏会終了後楽屋出口で楽員にビールを1本づつ配っていました。(私は持って帰るのが面倒なのと、速く帰りたかったのでパスしました。)
 今まで色々な指揮者でブルックナーを演奏した経験から言うと私自身は今回の演奏はよく理解できません。「gezogen」とか「breit」の意味が他の指揮者と違うのです。またテンポを変えるように書いていないところでは基本的にテンポは変えないものなのですが、3楽章のトリオでは倍くらいテンポが変わるのです。私がテンポにこだわるのは、メロディーに合わせて延びていくと躍動感が無くなり、ドイツ音楽ではなく演歌の世界になるからです。
 とまあ色々言えば疑問点はありますが、この大曲集を9曲もやったのですから本当にご苦労様でした。

 明日からはいよいよデュトワ先生が、ドビュッシーの「映像」とプロコフィエフの「ロメオとジュリエット」をやります。ロメオとジュリエットは昨年ウィーンで録音した6番の交響曲のカップリングになる曲です。


3.12

 今日でいよいよブルックナーシリーズの練習も最後です。若杉氏のこの演奏会とこの曲に賭ける意欲は痛いほど伝わってきます。3年かけたシリーズの最後ですから。とにかくこの9番を歌い上げたいということのようです。
 私達が弾くうえで「?」と感じることは聴衆の皆さんには直接関係しないかも知れませんが、毎回微妙に違うテンポや表情には私としてはついていきにくいのです。このテンポで弾こうという心積もりがはぐらかされるような感じがするのです。同じ部分でもそこから弾き始めた場合と、前から続けて弾いた場合でかなりテンポが違うのです。こちらとしては先が予想できないのです。いずれにしろ私としても明日の演奏会は自分のためにもブルックナーの9番のためにもちゃんと弾こうと思っていますが、............

 最近どこのホールでも消防署の方から防火シャッターについて色々クレームがあり困っているようです。防火シャッターの下りる部分には物を置いてもいけないし、そこを使ってもいけない(横切るだけでもいけない)というのです。したがってさらに客席寄りにオケが出ないといけないようです。一体どうやって芝居や演奏会をしろというのでしょうか。現在やっている舞台上での芸術活動は全て成り立たなくなります。また公演の時にわざわざ見に来て色々クレームをつけて帰るそうです。よほど暇なのでしょう。消火器をより多く設置するとか、スプリンクラーをもっと高性能なものにするとか色々対応法はあるのに、どうして全て最悪の方向に話をもって行くのでしょう。イチャモンとしか思えません。道交法と同じくらい消防法も非現実的だということなのでしょう。監督責任の名のもとに言いたい放題という感じしかしません。

 私の生徒で、Macを使っている人がOS8は色々問題があるので、その人の職場では7.6に戻したそうです。8.0にしたらインターネットがうまく動かないと言っている人はN響にもいました。私自身はOS8の方がずっと安定しています。最近は漢字トーク7.1のころと違って色々質問されても電話だけで対応の仕方を説明できるような時代ではなくなりました。でもほとんどの場合マニュアルとReadMeを読めば解決します。OSが進歩するとそれの初期設定をするのがどんどん難しくなっていきます。サポートセンターの方のご苦労がしのばれます。(自分が質問するときはサポートの方の初心者を相手にするような口調[ごく基本的なMacの使い方を説明されたりするから]に腹が立つことがありますが、実際はほとんどがそういう質問なのでしょうね。それにしても今の各メーカーのサポートは少し前に較べて良くなりましたね。)


3.11

 今日は練習していて、とても良い音がしているときがあり、N響にいて良かったなとつくづく思いました。最初に思ったのはメシアンの最後の静かなところでした。ブルックナーの終楽章でもきれいだなと思いました。以前に比べると弱音が一段ときれいになったと感じました。自分たちで良い音にするようになっていると思います。ただ小さくすればよいという感じではなくなっています。それに対しフォルテでの音質は今一つかなと思いますが。
 若杉氏はもっと歌うようにということが一番主眼であるようです。練習中にも何度もその注意を頂きました。時間を充分使って歌うようにとのことです。本番までもう一日練習があります。ブルックナーシリーズの最後を飾る演奏になることを祈っています。それにふさわしい曲ですし。

 今日帰りにMacOS8.1を買いました。家に帰って早速インストールしました。(アップデートで8.1にしたものに、再度インストールを選んでいます。)不思議なことにPowerBookで8.1のCD-ROMをパイオニアのCD-ROMドライブに入れると、初期化するかと聞いてきます。ただ再起動してCを押していると8.1のCD-ROMから起動するので実用上は問題ないのですが。


3.10

 今日はブルックナーの9番の練習でした。やはり1番とは比べることも出来ない名曲です。若杉氏の印象は前回とあまり変わりません。私の場合どうしても「1,2,3,4」と拍子が進むと次の1拍目は一応の範囲内で来てくれないと面食らうのですが、その点どうしても私には理解できません。若杉さんはこの曲ですごく歌いたいらしくそういう事を何回となくおっしゃられるのです。確かにそういう意味ではたっぷり歌うと非常に効果的ではありますが、拍子の枠は一応の範囲に入っていただきたいです。(合奏できなくなるので)
 ブルックナーの特徴は1番で出ていたものとほとんど本質的な部分は変わりませんが、9番の方がいろいろな意味で洗練されていると思います。転調の仕方も遥かに洗練されていますし、旋律の深さもかなり違います。
 私達はよく普段演奏されない曲にはそれなりの理由があると話をするのですが、1番と9番を比較しても同じことが言えます。メロディーが親しみやすいというだけの理由でポピュラーな曲が残っているのではありません。やはり内容的に優れていなければメロディーが良くても残れません。その意味では今回の9番はやはり名曲です。(弾いている側が良いと感じないのに、聞いている人に素晴らしい音楽として伝わることはないでしょう。私達が良いと思ってもそのようにお客さんに伝わらないのは日常茶飯事ですが。)
 今回のメシアンの曲はあまり面白くありません。(というより弾いていて楽しくない。)いつも同じパターンという感じ。(ちょっと変わった拍子で何回も繰り返す)


3.9

 今日は練習法のページに練習の前にすると良い体操をご紹介します。ヴァイオリンを弾く前に体を伸ばしておくほうが練習の能率が上がります。お試し下さい。

 またモバイル環境が変わったので、それについてこちらに書きました。

 私はアレルギー体質なので、毎年この季節になると花粉に悩まされます。今日も夕方からくしゃみが止まらず困っています。このくしゃみと鼻水は演奏会の大敵です。以前は花粉に絶対の威力のある漢方薬があったのですが、3年くらい前からその薬が手に入らなくなってしまったのです。(作っていた薬剤師さんがやめてしまったそうです。)それから色々な薬を試しているのですが、前ほど有効な薬にはお目にかかれません。この季節本番前に鼻の奥がクスッというと、もうダメなのです。本番中に鼻をかめるようちり紙とハンカチをもって舞台に出ます。この状態になると気持ちが集中しないのです。

 明日からはサントリーのブルックナーシリーズの最後の9番の練習が始まります。3年にわたり年3回行われたこのシリーズもいよいよ千秋楽です。9番の交響曲というのはベートーヴェン、マーラー、ブルックナーと名曲が多いです。前回の1番とは好対照の一曲です。今回は名演が期待出来るのではないかという予感がしています。まずは明日練習に行ってみてということで、お楽しみに。 


3.8

 楽器についてのページとヴァイオリンの維持管理のページを新しく書き直しました。長期的なスパンでの維持管理の項目を新たに加えました。参考にして下さい。これから徐々に奏法、練習法と順番に書き直していきます。ご期待下さい。

 一昨日富士写真のFinePix700を購入し色々と試していたのですが、やっと馴れてきました。これはとても小さいので、今までの8500ではPowerShot、PowerbookではKODAKという両刀遣いも終わりです。ディジタルカメラもずいぶん進歩しました。小さくて性能も飛躍的に向上しています。

 最近つくづく感じるのですが、ヴァイオリンを弾くとき余計な力を抜くことはとても大切です。弓が元に来たとき思わず弓を握り締めたり、右手の親指と中指以外の指に力がかかったりしない事がとても大切です。弓を親指で押しているという感覚が大切です。(上げ弓でも下げ弓でも親指が弓を押しています。)ヴァイオリンを弾くに当たって知性というのはほとんど役に立ちません。というのは弾くという作業は知性で制御できるほど単純なものではないのです。(気をつけるべきポイントが、たくさんある。それを理性でコントロール出来ると思うのは錯覚です。一つのことが出来ても他の注意が出来るにはあまりにも時間がかかりすぎて、普通のテンポでは4分音符くらいがちゃんと注意できる限界でしょう。)必要な動作を一まとめに条件反射として行えなければ、実際の演奏では全て後追いのその場しのぎになってしまいます。アマチュアの人がよくやろうとする「頭で理解してから弾く」というようなやり方では追いつきません。(私の生徒でも大人ほどその傾向が強いです。)子供のような無心さが必要とされる所以です。私達も譜面を見てから弾いているうちはちゃんと弾けていません。
 頭の中で演奏のシュミレーションをすると頭の整理にはとても役立ちます。楽器を持たずに右手と左手を動かしながら頭の中で曲を歌いながら、その曲のシュミレーションをしてみて下さい。きっと役に立ちますよ。たとえばボーイングも弓をどちらに弾くかを覚えるようなことだったら、ヴァイオリンなど持たなくても右手だけでの練習で覚えられます。左手の問題も音程の練習だけはヴァイオリンを持たなければ出来ませんが、どの指で押さえるかを覚えるような次元の問題なら楽器など構える必要はありません。
 私の感じでは大人だけに通用する勉強法などないと思います。子供の覚え方の方が本能的で理に適っていると思います。理屈で考えると往々にしてもっとも基本的な部分で勘違いをしやすいものです。頭で考えないでまず弾いてみるということが大切です。(大きい音、深みのある音、良く響く音などはもっとも勘違いの多い部分です。またこういう部分についてはプロの中でも色々意見があるのです。)

 大人であることの良さが現れるのはこれからです。子供はつかえずに弾ければ一応満足しますが、大人は自分の求めているような音が出ているか注意して聞いて直せるからです。だから注意しないで弾く大人が最悪なのです。子供ほど覚えは良くないうえに、自分ではちゃんと弾いていると思うという最悪のパターンです。それに大人だから周りも本当のことは言えません。たとえ先生でも。
 一番言いたいのは、大人も子供もないということです。おれは大人だというプライドは捨てることです。大人か子供かというようなことは持ち味の違い程度の意味しかありません。(幾分理解力があり、幾分人生経験が豊富であるから色々なことを経験しているという程度。感の良い子供にかかると大人もタジタジです。)

 余計なことながらもう一言言うと、弾き方について色々議論があるようですが、そういう議論は全て後からついた理屈です。まず弾ける人の真似をそのままやってみることです。理屈で考えると何かに取り憑かれてしまいやすいのです。(例えば弓をしっかり持つということについても、ただ力んで持っているという人もたくさんいます。しっかり持つという意味が分かるだけでも何年もかかるのです。)先入観念を持たずに本能的にやってみることから何かを発見することがあります。人の弾くのを見るところから得るものもたくさんあります。思い込みの激しい人はご注意を。(私自身ちょっとした錯覚でずいぶん苦労しました。)


3.7

 今日はN響は福井で演奏会です。こういう寒い季節に北陸のように魚のおいしいところに旅行というのはこたえられないのですが、今回は自宅謹慎(?)です。

 ところで昨日私は行きつけの楽器屋さんに行ったのですが、そこで今世紀初めのイタリアの楽器を見たのですが、今ではその頃のものでも良いものになると1000万を超えるようです。バブルのころは日本人が高い楽器をどんどん買いに行きましたが、今では高額の楽器の動きはほとんど止まっています。それで悪徳楽器屋は安い楽器で儲けているようです。(安い楽器がいい加減なのは今に始まった話ではないですが。)私の知り合いでも2〜300万で見るからに偽物というようなものを掴まされた人が何人かいます。今になって楽器屋に行って引き取ってもらおうとしても居留守を使われたり相手をしてもらえなかったり散々の目に遭っているそうです。買うときは楽器屋は調子よいですが、後で最低限その時の買値で引き取ってもらえることを確認したほうが良いです。(一筆書かせるのがベスト)
 また良くあるのが保証書とラベルの偽造。そんなものあまり信用しないことです。自分で弾いたり人に弾いてもらってその音が良いかどうかが分からなくては何百万以上の楽器は危なくて買えません。(プロでも虫食いの楽器を掴まされますから。表板が一面虫食いだったのです。光に当ててみると板の向こうの光がうっすら見えるのです。)
 とにかく悪徳業者の手口は色々あって素人がとても対処できません。また楽器自体も色々なものがあります。とにかく楽器の分かる人に良く相談することです。不審に思うところがあったら絶対に金を払わないことです。(悪い楽器屋に一度金を払ったらもうその金は捨てたのと同じです。絶対に返してなどくれません。)やはり一番大切なのは信用できる先生と楽器屋さんです。


3.6

 今日は演奏旅行の話番外編です。
 まず演奏会の中止の話です。大雨などで急に演奏会が中止になることがたまにあります。私が経験した中では和歌山の演奏会が中止になったことが思い出に残っています。その前後どこで演奏したのか覚えていないのですが、和歌山の演奏会に行く前日の夜大雨がふり南海電車がストップし、朝10時ごろだったと思うのですが大阪の東急インで演奏会の中止が決定したことがあります。その時は私はその足で京都に行き新都ホテルに行き、一日ゆっくりした覚えがあります。(このとき前の日に奈良に行き連絡のとれなかった人が、その日苦労して和歌山の会場に行ったら演奏会が中止なのでがっくりしたという話があります。)
 また私が入団する直前(もう20年以上も前のこと)松山の演奏会の後高知での演奏会が中止になったことがあるそうです。(このときも前日連絡のとれない所に行ったため演奏会が中止になったことを知らずに松山から高知まで自転車で行ったという大先輩がいるそうです。)またさらに昔松江で台風のためにホテルから退避しなければならなかったという話も聞いています。その時某大先輩が雨の中歩いているとき溝にはまり、ヴァイオリンを思わず空中に投げ上げたという話をしていました。(投げ上げた後そのヴァイオリンがどうなったのかは聞いていませんが)
 最近は鹿児島から延岡に行くとき、途中で大雨のために列車が止まりましたが、その復旧を待って列車で延岡に行き1時間以上遅れて演奏会をやったことがあります。
 また名古屋から松本に行くときも大雨で列車が止まり、その時は地元のバス会社に連絡してバスをチャーターしてその時は少し遅れたくらいで演奏会をしました。
 演奏会以外のことでは、例えば名古屋の演奏会の後バーに飲みに行ってちょっと飲んだだけで10万位請求されて青くなったという話しや、演奏会の前にパチンコ屋に行った人が会場練習がもうすぐというときに大当たりが出てやむなく棒に振ったとか、車で演奏旅行に行った人が途中のパーキングエリアで休んで出発しようとしたらエンジンが焼き付いたとか色々な武勇伝があります。もっとも逆に飲みに行ったクラブで女の子に妙に気に入られていい目を見たという人もいますが。私自身は最近は飲みに出ません。というのはカラオケのない静かなところがほとんどないからです。
 JRで移動する分には何かあっても自分の責任ではありませんが、車で移動しているときは全ての責任は自分でとらなければいけないのです。演奏旅行で最初に東海地方のどこかで演奏会があったとき東名がやたら混んでいて会場練習に遅刻したという事故もありました。こういうときは車で移動していると胃がキリキリ痛むものです。もっとも列車で動いている人でも会場練習の時ホテルでゆっくり熟睡中だったという人もいます。
 私も車に乗っていたころ、演奏旅行ではありませんが定期演奏会の時、外国の要人の来日とちょうどその時の豪雨のために錦糸町と箱崎の間に1時間半ぐらい閉じ込められて、やっとNHKホールに着いたらプログラムも後半のブルックナーが始まったところだったという経験があります。もっとも電車が動いていなくて、車で何とかホールに行けたこともありますが。テュッティのヴァイオリンですからその点は何とでもなりますが、管楽器のソロの人は大変です。


3.5

 演奏旅行の話の続きです。私達の演奏旅行は規定にしたがって旅費が支給され、私達は自分で列車とホテルを予約します。(安くしたければ安いホテルを、贅沢したければ支給される以上の金額は自分で負担すればよいのです。安いホテルに泊まっても差額は戻さなくて良いのです。条件は会場練習の時間に会場の自分の席に座っていればよいので、それ以外の行動は基本的に自由行動です。)
 私たちの泊まるホテルについてですが、N響の旅行規定では「乗り打ち」(移動してその日に演奏会をすること)の場合の移動時間は最高で4時間です。また移動は午前10時以降の列車です。従って朝食は大体早くて朝8時なので、朝静かなホテルに泊ります。演奏会が終わって食事に出ると、早くてホテルに11時位に戻り、それから仲間で部屋で色々話をするので大体寝るのは1時か2時です。ですから遮音の悪いホテルでは朝目が覚めてしまうのです。
 N響の組合で斡旋するホテルは名古屋は東急ホテル、大阪は新阪急ホテル、広島はターミナル(今はグランヴィアと名前を変えている)などです。以前はビジネスホテルに泊まることが多かったのですが、最近は朝眠れることが一番の問題点なのです。
 昨日話をした旅行日の楽しみの温泉の話ですが、これは皆それぞれに工夫を凝らしています。私の場合は山形に行く時は時間が許せば近くの天童温泉に行きます。そこにとても良い旅館があるのです。(全18室の小さい旅館で、全室独立した離れのようなとてもぜいたくな作りで、食事もお風呂も最高です。)また六日町にはとても上品な食事どころがあって、長岡とか新潟の演奏旅行の前にはよく行きます。こちらは昔の豪農の家を使ってケヤキが特徴のところです。ここの料理が最高なのです。(コシヒカリの本場の六日町ですから御飯もおいしいです。)また六日町温泉には豪農の館を使った旅館もあります。また長野の郊外の山田温泉の宿も紹介されてはいるのですが、スケジュール的にまだ行けません。
 演奏旅行で各地を回っていると、各地の変遷を目の当たりに見ることになります。私の印象に強く残っているのは北海道の北見です。ここは昔はまともなホテルがなかったのです。ところが東急が進出して東急デパートと東急インが出来たら街の景色が一変したのです。東急は進出する時そこの街並みから変えてしまいます。私が昔住んでいた我孫子のすぐ隣取手に東急が進出したときも取手の駅前が一変しました。西武も色々なところにパルコを造ったりしていますが、街並みまでは手を出していません。東急は再開発が上手ということでしょう。
 最近は各地の駅前でよく再開発の工事中ということがあります。次の機会に行くと今までとはまるで違う景色になっているのでしょう。(大体駅ビルとそれに付属した新しいホテルが出来るというパターンです。)そういうことも演奏旅行のひとつの楽しみでもあります。


3.4

 楽器についてのページでヴァイオリンの簡単な歴史と購入に当たってのアドバイスを書いておきました。

 N響は今日から演奏旅行です。(私は在宅研修です。要するに降り番。)昨日が芸術劇場、今日は甲府、明日は松本、1日おいて7日に福井というスケジュールです。N響の場合今までは演奏旅行は3年くらいで日本中を回るというペースだったのですが、最近は行く地方が偏っていく傾向があります。最近あまり行かないのが東北です。仙台、秋田、八戸などここ何年も行っていません。また個人的に縁のある山形もあまり行かなくなりました。また山陰もあまり行きません。鳥取、松江、米子などは私の入団当時はよく行ったのですが。
 演奏旅行というのは本来は列車で移動するのですが、個人的に車に何人かで一緒に乗って行くケースも多いです。例えば今回の場合甲府松本と車で行き、その晩東京に車で帰り、1日おいて新幹線で福井に行くということも出来ます。今回は松本と福井の間に1日旅行日があるので、その日に北陸の温泉に行ってゆっくりするという人が圧倒的に多いです。演奏会のある日は本番が終わってホテルに帰ると9時くらいになるので、旅館では食事ができないのです。ですから演奏会のある日はホテルに泊まるのですが、移動日は自分の好きな旅館に泊まって夕方からゆっくり酒と食事を楽しみます。今回は松本から安房峠を越えて北陸に行くという人がかなりいるようです。時間的には余裕があるので6日の旅行日は皆それぞれの計画を立てているようです。今回は福井が次の場所ですから北陸の温泉はどこも候補になります。このように好きな温泉にゆっくり泊まるのが演奏旅行での一番の楽しみです。
 今年の旅行スケジュールでは7月に3日(新潟と佐渡の演奏会の間)、18日(水沢と函館の間)の2日旅行日があります。このときも皆それぞれに工夫を凝らすでしょう。また10月26日(長崎と佐賀の間)も旅行日です。
 そう言えばこの10月の旅行の時に大分に行くのですが、大分に新しいホールが出来るそうです。去年大分に行った時そのホールの完成予想図を見せていただきました。かなり規模が大きいようでした。このホールではそのうちアルゲリッヒの講習会が開かれるという話を聞きました。九州には鹿児島(もっともかなり前ですが)、熊本、福岡、宮崎と新しいホールがどんどん出来ています。今年も鹿児島以外のここに上げたホールにまた行きます。


3.3

 今日は私の印象に残っている指揮者を紹介します。
 私は昭和51年(1976年)にN響に入団しましたが、その入団試験を受けたときにちょうどN響にエキストラで出演していました。その時の指揮者が今は亡きロブロ・フォン・マタチッチ先生でした。その時弾いた曲はヤナチェックの「シンフォニエッタ」とR.シュトラウスの「ドン・キホーテ」でした。このドン・キホーテの時の先生の指揮とその後のブルックナーの指揮ぶりが目に焼き付いています。全体的には雰囲気で振っているように見えるのですが、先生の顔の表情が何とも言えない曲にぴったりの表情なのです。長いcrescendoの時棒を見ているより顔の表情の方がそのcrescendoの分量と仕方がよく分かるというまさに指揮の極意のような感じでした。ヤナーチェックは私はその時初めて弾いた曲でしたが、面白い曲だなと思いました。(その後何回か弾いていますが、今から思うとこのときの演奏が一番良かったように思います。)
 その私が入団してすぐサヴァリッシュ先生でハイドンの「軍隊」をやったとき、先生の指揮の正確さと細かさには舌を巻きました。どんな細かいところでもちゃんと指揮されているのがとても印象的だったのです。今から20年くらい前の話です。今では先生もその頃とはずいぶん印象が変わりましたが、ドイツの正統派の曲については先生の右に出る人はそういないと思います。
 その後で印象に残っているのはノイマン先生です。特にスメタナの「我が祖国」は素晴らしかったです。このチェコ人にとっては国歌に相当するような曲を日本人が演奏するのですから、先生から見ると文句はたくさんあるのでしょうが、ごく普通にいやな顔もされずに練習され、私たちに曲の背景、雰囲気を説明しながらまとめていかれたその手腕は今でも印象的に覚えています。
 最近(といってもここ2〜3年のことですが)似た意味で印象に残っているのは、ブーレーズメータのお二人です。2人とも練習がとてもうまく、初めはこんな難しい曲この日数で大丈夫なのだろうかと思っていたのですが、2日目にはこうやればこんなに難しい曲でも弾けるのだと思わせてくれました。(ただ弾くだけならどの曲でも弾けますが、曲の表情をちゃんとつけるという意味では大変難しいという意味です。)
 またN響に初登場の時のデュトワ先生のストラビンスキーの「火の鳥」も見事でした。あの変拍子が少しもその様に感じない見事な指揮でした。この曲のどこがリズム的に難しいのだろうと思わせられました。先生もあの頃と今では少し変わったかなと思いますが。
 他にもサロネンプレヴィンと言った方達も印象に残っています。若き日のシュタイン先生もあのオIデコとともに印象に残っています。(シベリウスの「カレワラによる4つの伝説」が特に私の印象に残っています。先生はシベリウスに特別の思い入れがある様です。今回もシベリウスの7番を取り上げました。)
 N響に登場する指揮者でこのように印象に残る指揮者は1年に1人いるかいないかですが、そうであるからこそそう言う指揮者に会うととてもうれしくなります。また近いうちに協演してみたくなります。でもそういう良い指揮者は他のオーケストラも放っておかないので、なかなかまた来てもらえません。そういう人に指揮していただけることで良しとしなければいけないのです。


3.2

指揮者の先生方の面白い話を少しご紹介します。思いつくままに書いて行くので順番に意味はありません。 本番中の出来事として逸話が多いのは何と言っても山田和男先生でしょう。私が入団する前のことですが、本番中にあまりの勢いに舞台から落ちて、しばらくしたら振りながら舞台に上ってきたということもあったそうです。私が実際に経験した中ではマーラーの歌のソロ付きの交響曲(どの曲だったか記憶はない。)で、最終楽章の終わりの部分で行方知れずになり、ソロが終わりの部分を2度歌ったということもあります。(これは津山での演奏会です。)  また食事についても色々な逸話があります。  シュタイン先生はN響の練習の時などお昼に昔練習所の向かいにあったホテル高輪でお寿司を食べたりされていましたが、ホテル高輪が廃業したときにそれをすごく悲しんでいられたそうです。  サヴァリッシュ先生は昼食をとられないそうで、それは昼食をとると体の切れが悪くなるからだそうです。私たちは普通に昼食をとるわけで、午後の練習はいつも先生だけ元気ということがよくありました。  ブロムシュテット先生は菜食主義で、お昼もサラダだけだそうです。先生は肉は食べないのにものすごくタフで、我々はよく野菜だけにしたらもっとタフになれるのではないかと言っています。持続力の秘密は菜食なのかも知れません。  ところで指揮者の練習の仕方というのも人によって色々ですが、大きくわけて2つに分類できます。1つはまず通して練習してそれから細かくやるタイプ、もう1つは問題があると1ヶ所づつつぶしていく練習をするタイプです。これは私の印象ですが、一流の人は概して初めのタイプのような気がします。(もう一つのタイプの練習をする人が良くないというわけではないのですが、傾向としてこう言えると思います。)  限られた時間であるところまで持って行くにはまず通して弾かせて、その間にそのオケの実力を見極めて、どこまでそのオケに要求できるかを見ているようです。また言うことに無駄がありません。ブーレーズ、メータ、ノイマンというような名指揮者は皆このタイプです。またいつも要求は1つしかしないのですが、1つ出来ると次の要求が出てきます。それが出来るとまた次という具合です。3日の練習でも1週間の練習でもやることはいくらでもあるという感じで、こういう人の懐の深さを痛感させられます。

 それに対して練習3日でも初日の練習から練習時間を持て余す人も時々います。ただ何回も弾くだけ。注意も脈絡がなく、その時思いついたことを言うか、初めに言うことを決めてくるかどちらか。(こういう時は我々は「またこれかい。」という気分。)こういう場合本当に困るのです。はい。


3.1

 今日はプレーヤーが指揮者に求めることについて書きます。最近登場した指揮者のことを考えて書いているのではありません。(例えばシュタイン先生とか若杉さんとか)いつ書いてもその直前の指揮者について書いていると思われるので書けなかっただけです。  音を一つも出さないでオーケストラの一番前に立って演奏会のスターとして君臨する指揮者、誰でもやってみたいでしょう。演奏会がうまく行けばほとんどの場合指揮者が褒められ、もしどこかで演奏のミスがあれば必ずオーケストラのプレーヤーはクソミソに言われる。一流の指揮者はみな優秀なリーダーです。1つ1つの拍を点で指示するのではなく、一つの運動としてまとめて指示してくれるのです。(見ていればいやでも分かるというやつです。一流の人は持ち味が違っても皆とても分かりやすいです。)  音楽の表情を口でではなく棒の先でしっかり指示してくれることが必要なのです。指揮者に第一に求めることはやはりテンポの指示です。一番困るのはオーケストラについて棒を振っているいわゆるラジオ体操です。音楽に適した速さで停滞しないで進むことが至上命題です。我々の僅かに前を進んでこちらに来なさいという道案内を出来るのが一流です。  練習中の注意についても、今どこが問題で何を最初に直さなければいけないかが瞬時に分からなければいけません。弦楽器の中でテンポがずれまくっているのにそのことには気づかず、管楽器のソロにフレーズがどうしたというような注意をしている場合です。[フレーズがどうでも良いといっているのではありません。今の場合そんなことよりもっと大切なことがあるだろうということです。]  必要があるのでしている注意は我々も素直に聞けますが、自分の間違いを人に転化したり、時間調整のためにしている注意(何か言わないと練習が終わってしまうので適当に思いつきでしている注意のこと。こういう場合は何日練習してもちっとも演奏が良くならない。むしろ初めの方が新鮮で良かったりする。)などは聞きたくもありません。また我々のための練習ではなく、自分のために練習している人もいます。(往々にしてそういう人に限って我々にもっともらしそうな注意をする。実は自分がもう一回やりたいだけ。もう一回やりたいのなら素直にもう一回やってと言えば良い。)forteでもpianoでも棒のストロークが変わらないような人の指揮は信用できません。(動きの幅、スピード、重さなどの総合体をストロークと言っています。)ヴァイオリンだって同じボーイングでforteやpianoは出ません。当然予備動作の勢いから全然違います。棒だって同じです。  指揮者は色々なオケを振っているのでたくさん経験があるのですが、逆に我々は色々な指揮者で同じ曲を弾いているのです。こんなことまで分かるのだぞというパーフォーマンスをする人もいます。こういう人に限って音楽のマスコミでの受けが良かったりするのです。(裏工作がとても巧いという話もある。) 今日は「プレーヤーのひとりごと」を書きました。また次の機会にこの続編を書きます。


97年9月分10月分11月分12月分、98年1月分、2月分は1月ごとにまとめました。97年8月以前のものは消去しました。